資⽣堂での仕事のイメージは、
マーケティングや商品企画の印象が強いかもしれません。
もちろん、商品の源泉を⽣み出すことも重要な仕事ですが、
その源泉を具現化することも⾮常に重要な仕事です。
その役割を担っているのが、研究開発職。
資⽣堂の成⻑を⽀える、研究開発職の魅⼒をお伝えします。
Chapter 01
資⽣堂の研究開発の役割とは?
研究開発職は、資生堂のイノベーション創出を加速させる役割。その業務は、大きく分けて基礎研究、製品開発、品質保証・安全性保証があります。
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製品開発
製品開発とは、皮膚研究と製剤化技術の研究結果を最大限に活用し、安全性や環境への配慮を最優先としたグローバル市場に適した処方の開発を行っています。
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基礎研究
皮膚科学に基づいて肌の構造や機能、老化のメカニズムを研究し、皮膚細胞や遺伝子の研究、ナノテクノロジーやイメージング技術の活用など、科学的手法を駆使して美容の科学的理解を深めています。
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品質保証・安全性保証
お客さまの健康と安全を最優先に考え、高品質かつ安全な製品を提供するために、独自の安全性評価基準に基づき、製品の成分や製造プロセスや科学的な蓄積されたデータと経験による安全性の評価や、製品の使用中における皮膚刺激性やアレルギー性のテストなども実施しています。
資⽣堂の研究開発をさらに成⻑させるために
様々な体験や出会いによって、
“美のひらめき”を感じることができる
新たな時代の研究所を開設
都市型オープンラボとして、お客さまと研究員の交流やお取引先さまや国内外の研究機関とのコラボレーションを行う場として2019年にみなとみらいにオープン。
また、新オフィス設計や優れた研究設備で柔軟で多様な働き方を生み、研究員の自由で新しい発想を促します。これらの取り組みにより「多様な知と人の融合」を実現しこれまでにない価値を生み出します。
境界を超えた知の融合により、
資⽣堂のイノベーションをもっと、
もっと加速させていく
独自の研究開発理念として、新たに「DYNAMIC HARMONY」を制定しました。「DYNAMIC HARMONY」は、明治期に日本初の民間洋風調剤薬局として創業して以来取り組んできた、西洋の科学と東洋の叡智を融合した成り立ちに端を発するものです。R&D理念「DYNAMIC HARMONY」は、①肌の内外から美しさを引き出す「Inside/Outside」、②確かな効果を日本品質でお届けする「Functionality/Japan Quality」、③お客さまの感性を科学で追究する「Science/Creativity」、④プレミアム感と環境共生を両立する「Premium/Sustainability」、⑤広くお客さまを知り、1人ひとりに最適な美を提供する「Individual/Universal」の5つを柱としています。
当社がこれまで長年強みとしてきた研究領域を深化させるとともに、変化する社会環境やお客さまニーズに迅速かつ幅広く対応していきます。また、研究アプローチは常に変化しながら、今後6つ目、7つ目のアプローチを創出するなど、進化を続けていきます。
Chapter 02
実際に、どのような技術・成果が⽣まれている?
資生堂R&Dは「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」という企業使命のもと、化粧品に留まらない包括的なアプローチでイノベーション創出を加速します。
得意の研究領域
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マテリアルサイエンス
化粧品に配合する成分の開発や、それを安定した製剤として完成させるマテリアルサイエンス技術は資生堂の強みのひとつです。成分一つひとつの機能・品質の追求はもちろん、有効成分を安定して配合し、心地よい感触を実現するには高度な技術が求められます。さらに私たちはスキンケア製品はもちろんのこと、サンケアやメイクアップ製品においても、「肌に塗布している時」に最も感触がよく、機能を発揮することが重要と考え、実際に肌に塗布した様子を詳しく研究しています。
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感性研究
私たちは、お客さまに心地よく化粧品を使っていただくために、化粧品の「感触」を大切にしています。そのため優れた機能と心地よく使える感触の両立をめざし、製剤化技術の研究を深めてきました。 そして現在、「お客さまの感じる心地よさ」を高めるために、感性研究を通じて科学的にアプローチしています。例えば、世界中のお客さまの嗜好性を理解するために、触覚センサなどの感性機器や評価法の開発を行っています。さらに脳科学や心理学によって解明した、お客さまに満足していただける感触、香り、見た目などをマテリアルサイエンス研究へ活かすことで、化粧品の心地よさを追求しています。
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⽪膚科学
100年超の研究開発の歴史の中で、私たち資生堂は、たるみ、シワ、シミ・くすみといった、お客さまの不変の肌悩みと向き合い続け、観察技術を進化させるとともに、その要因の解明やソリューション開発に取り組んできました。また、近年では、血管、リンパ管、免疫、神経など、肌の内部の状態にも着目し、肌状態との関連などについて研究を深めています。
新たな研究領域
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ウォーターセンシングテクノロジーTM
唇に塗布すると色材を集め、唇上で蒸発する水を感知して色材がネットワークを形成する「ウォー ターセンシングテクノロジーTM」を開発しました。色材がループ状にネットワークを構成することで、色材一つ一つ が離れにくく、唇に密着して高い色持ち効果を発揮します。加えて、色材を密着性の高い油や被膜剤で維持していたこれまでの口紅とは異なり、塗膜を固化しないため、なめらかで軽い付け心地と高い色持ち効果を両立した口紅製剤を実現することに成功しました。
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骨格診断
顔の画像を分析することで、将来的に表れやすいしわやたるみなどの肌悩みと肌内部の状態を予測できるツールの開発に成功しました。鼻の骨格と肌状態や肌内部との関係性に関する知見を組み合わせ、顔を 16 種類のタイプに分類し、それぞれについて将来的に表れやすい肌悩みと肌内部の状態を予測することができます。これにより、肌悩みが現れる前に予防ケアを提案できるとともに、適したマッサージ法や身体の内側からのケアなど、よりパーソナライズされた新たなアプローチの開発を加速させることが期待できます。
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スポンジ相を活用した
革新的なクレンジングウォーター「スポンジ相※1」と呼ばれる界面活性剤の特異な状態を水中で生成させ、メイク落としに活用することに成功しました。近年、“ミセラタイプ”と呼ばれる水をベースにしたクレンジングウォーターが多数上市されています。“ミセラタイプ”のクレンジングウォーターは、洗浄後にさっぱりとしてべたつかず、うるおった肌感触が得られる一方で、メイク落とし効果において重要な役割を果たす油性成分をほとんど含まないため、他のクレンジング剤形に比べて洗浄力に課題がありました。水をベースとするメイク落としにおいて「スポンジ相」を活用すると、スポンジ相特有の網目構造により、洗浄後のさっぱりとした肌感触だけでなく、高い洗浄力を発揮することが可能となります。
※1 スポンジ相:界面活性剤がスポンジのようにネットワークを形成して広がった状態。油になじむ面が拡大してメイクとなじみやすい。 -
肌内部の美のめぐりを可視化し、
非接触で測定店頭向け肌測定機器の開発を担当しております。資生堂が長年研究を重ねてきた肌データをもとに多角的に肌状態を分析し、測定結果とカウンセリングによってお客さま一人ひとりに最適なスキンケアを提案するサービスに活用されています。近年開発された「Beauty Alive Circulation Check(ビューティー・アライブ・サーキュレーションチェック)」は、資生堂初※1、非接触で肌内部の美のめぐり※2を即座に測定でき、グローバルに展開しています。
※1:非接触で肌内部の状態の測定を行う店頭機器は資生堂で初。 ※2:美のめぐりとは、かがやき、なめらかさ、ハリの美肌の要素3つが整う肌であるかどうかを測定し、可視化したものです。美のめぐりがよいと、生命感あふれるつややかな肌に導くことができます。
Chapter 03
そのような環境のなかで働く魅⼒とは?
- 年次や階級によらず、自身のアイデアや取り組みを聞いてもらえる風土がある。
- 多様性とオープンな雰囲気。
国籍、年齢、専攻など様々なメンバーが働いている。 - 基礎研究から製品化研究まで幅広い研究を自社で行っており、挑戦できる仕事が多くある。
- 研修・海外赴任・大学との共同研究など様々な学びと経験の機会がある。