他社を知っているからこそ語れる、資生堂のリアルな強みとは?
中途入社の3名に語っていただきました。
社会に出る前のあなたにこそ、きっと役立つ座談会です。
Member
Profile
-
Profile 01
H.I.
みらい研究所 シーズ開発センター 感性機能価値開発室 基剤有用性開発グループ
2017年中途年入社
薬学部 薬学科- 前職
- 化粧品メーカー/スキンケア製品の基礎研究・製品開発
- 現在の仕事
- スキンケア製品の基礎研究
- 入社後の経歴
-
- 2017
- 基盤研究所 化粧品基礎グループ
- 2018
- アドバンストリサーチセンター 先端技術開発グループ
- 2018
- インキュベーションセンター マテリアル開発グループ
- 2020
- インキュベーションセンター ブルースカイイノベーショングループ
- 2021
- 現職
-
Profile 02
H.T.
ブランド価値開発研究所 開発推進センター 原料開発室 原料評価グループ
2019年中途入社
工学系研究科 地球環境システム科学- 前職
- 独立行政法人/環境への影響評価
- 消費財メーカー/同上
- 現在の仕事
- 環境規制リスク対応及び環境訴求データ作成
- 入社後の経歴
-
- 2019
- 安全性・解析研究センター 解析技術グループ
- 2021
- 現職
-
Profile 03
S.V.
ブランド価値開発研究所 グローバルブランド開発センター グローバル洗浄・ボディ製品開発グループ
2019年中途入社
工学系 有機・高分子物質- 前職
- 化粧品メーカー/ヘアケア製品の製品開発、プロジェクトマネジメント
- 現在の仕事
- スキンケア製品(洗浄・ボディ製品)の処方開発
- 入社後の経歴
-
- 2019
- 化粧品開発センター パーソナルケアブランドスキンケア製品開発グループ
- 2021
- 化粧品イノベーションセンター 洗浄・ボディ製品開発グループ
- 2021
- 現職
Chapter 01
資生堂への転職は「一方通行」?
―まず、転職の動機を教えてください。
S.V.前職は外資系の化粧品メーカーです。ヘッドクォーターはもちろん海外にあって、日本はブランチ。自然と「本国の処方を、日本の薬事法をクリアするために修正する」といった小さなプロジェクトが多くなります。人の移り変わりも激しく、入社3年目で上から2番目になっていました(笑)。早くからマネジメントを経験したい人にとっては、とてもいい環境だったのかもしれません。けれど私は、若いうちは専門性を磨いて処方開発の基礎をしっかりと学びたいと思ったことが転職のきっかけでしたね。
H.I.私も別の化粧品メーカーから転職してきました。この業界、同業転職が多いですよね(笑)。
S.V.ただ、前の職場では「資生堂への転職は一方通行」という噂があったんです(笑)。化粧品業界は人の行き来が多いけれど、資生堂に入った人はあまり出てこない。「つまり、いい会社っていうことだよね」と、同僚と話していました。
―なぜ同業転職が多いのでしょう?
H.I.S.V.さんもおっしゃっていましたが、「自分はどう仕事をしていきたいのか」という自覚ができるにつれ、現状とのギャップが見えてくるのかもしれませんね。私は前職で、基礎研究と製品開発を並行して手がけていました。研究からアウトプットまでが速いことに魅力を感じたからです。ただ、製品開発には締め切りがあります。間に合わせるために必死になっていると、研究にかける力が少なくなってしまう。自分は基礎研究に集中したかったんだと思い至り、それができる会社へ転職することにしました。
H.T.私は同業転職ではありませんが、自分の思いと仕事にギャップがあったという点では同じですね。これまでのキャリアでは、一貫して環境分野で研鑽を積んできました。前職の消費財メーカーでもそうです。やりがいはありましたが、そこでは評価手法がすでに確立されていた。ネガティブな言い方をすれば、ルーチン化していました。一方で、欧州をはじめとするグローバルでは、環境問題に対する姿勢がますますシビアになりつつある。この変化に追いつかなければまずいと訴えていたのですが、会社はひとまず静観の構えでした。そんな時、仕事でつながりのあった資生堂OBから声をかけられたんです。「資生堂はこれからもっと環境に力を入れていくから、そのチャレンジに力を貸してくれる人を紹介してもらえないか」と。チャレンジと聞いて、思わず自分で手を挙げてしまいました(笑)。
Chapter 02
業界を驚かせてきた、攻めの姿勢。
―「資生堂とは、チャレンジする会社である」。
それが業界内でのイメージなのでしょうか。
H.I.そうだと思います。前職時代、個人的に衝撃だったのは、資生堂がヒアルロン酸のマイクロニードル(※)をいち早く上市したことですね。私も近しい研究をしていたので、技術としてそういうものがあることはわかっていました。でも、本当に製品にしちゃうんだと(笑)。非常にアグレッシブな技術を、もちろん安全性も確認したうえで世の中に出す。私がしたくてもできなかったことなので、うらやましかったですね。
※針状に固めたヒアルロン酸を肌に密着させることで、うるおいを角質にまで届ける技術
H.T.私も「攻めの会社」というイメージをずっと持っていました。たとえば「資生堂が一切の動物実験をやめる」というニュースが出た時には、前の職場が騒然としましたね。「そんなの絶対に無理だよ」と(笑)。それくらい、安全性の確認には動物実験しかありえないというのが当時の常識だったんです。ところが今や、動物実験をしないことがグローバルスタンダードです。そういった先取りの姿勢は、やっぱりすごいなと思いますね。
H.I.先取りしすぎて、ついていけないこともありますけど(笑)。
H.T.過去のチャレンジについての資料がいろいろ残っているのですが、「今なら実現できるかもしれない」というアイデアがけっこうあるんですよ。宝探しのようにそれを掘り起こしていますね。
S.V.これまでの資料やデータがしっかり残っているところは日本企業らしいですよね。そればかりか、実際に手がけていた方がまだ社内にいらっしゃることも多いんです。さっきの「一方通行」の話ではありませんが、長く勤める人が多い会社なんだなと実感しています。
―「攻めの姿勢」の背景には、何があるとお考えですか。
H.T.環境については、「そこまでしなくても」というくらいの危機感を持っていますね。世界中に進出している会社ですから、グローバルな環境意識の高まりを肌感覚で捉えているんでしょう。トップランナーとして世界を変えていくんだという強い志もある。
S.V.志の高さは、開発においても感じますね。『IHADA〈イハダ〉』のスプレー製品を担当していたんですが、マーケットシェアはとっくに1位なんですよ。それでもみんな、「もっと効果を高めようよ」「まだやれるよ」と(笑)。
H.T.チャレンジできる風土があると、一人ひとりが懸命になって工夫したり調べたりする。そうして得られたものを自分の中に落とし込むことはもちろん、発表を通じて周囲にも共有する。誰もが常に新しいことに触れられるようになっているんですよね。それが資生堂の強みだと思いますし、先進性を保ち続けている理由なのではないかと感じています。
H.I.一方で、「安全」「安心」のように慎重を期すべきポイントでは前例を大事にしていますね。それでも、変えるべきところは変えていこうという意識は全員に共通していると思います。新しい価値を生み出していくために。
S.V.H.T.さんから「危機感」という言葉が出ましたが、その危機感を前向きなエネルギーに変えている会社ですね。
Chapter 03
年次を問わない裁量の大きさ。成長の後押し。
―入社して驚いたことはありますか?
H.T.まず、私服勤務だってことですね(笑)。かなり上のポジションの方もジーンズ姿で、びっくりしました。それから、化粧品を実際に使ってみる研修が面白かったな。
S.V.あれ? その研修、私の時にはなかったですよ。
H.I.研修もこまめにアップデートされているみたいですから、そのせいかもしれませんね。
H.T.「基礎化粧水って、使うとお肌がこんなにプルプルするんだ」とか(笑)。それまで化粧品にあまり縁がなかったので、なおさら驚きが大きかったです。いずれにしても、自分の会社の製品をしっかり理解しておけるのはいいですよね。
S.V.これ、いい話かどうかわからないんですけど……日常の仕事においては、グローバル感を思ったほど感じないのが意外でしたね。入社前は英語が公用語だと聞いていたのですが、けっこう日本語が通用している。もしかしたら、部署によって違うんでしょうか。
H.I.違うと思いますね。私のグループには英語しか喋れない方もいらっしゃるので、基本的にはすべてのやりとりが英語です。実は、短期の英語留学に行かせてもらったこともあって。その時にイギリスで身につけたことが今でもかなり役に立っていますし、そういう学びの機会の多さは、資生堂に入ってわかった嬉しい驚きです。
―一人ひとりの裁量の大きさはどうでしょうか。
H.I.資生堂に比べて小さな会社にいた分、前職のほうが任される幅は広かったかもしれません。ただ、経験を積んでプロジェクトリーダーを勤めるようになると、裁量もかなり大きくなってきましたね。
H.T.私の場合、同じ仕事をしている人がほかにいないこともあって、私の裁量に委ねられている雰囲気です。その分、責任もかなり大きくなるので、緊張感を持って仕事をしていますが。
S.V.私は製品を扱っているので、定められたスケジュールに沿って確実に動かなければいけないという鉄則はあります。でも、その責任さえしっかり果たしていれば、やりたいことに打ち込める環境でもある。年に1度、自分が取り組みたいテーマを提案して、認められたらやってもいいよという自由研究のような機会も用意されています。
H.T.意欲と熱意があれば、年次が低くてもテーマリーダーを任されるという懐の深さは感じますね。そういえばS.V.さんは「化粧品大好きプロジェクト」を手がけていたんですよね。
S.V.やりました! 研究所のみんなで改めて化粧品を好きになって、お客さま目線をしっかり持とうという取り組みです。まだ研究所が現在の場所に移転して間もない頃だったので、周辺の化粧品ショップをお散歩マップにしました。ちょっとした謎解きや、そのプレゼントもちゃんと用意して。「こういうことをやってみたい」というアイデアが認められれば、予算も含めて後押ししてもらえる環境はあると思いますね。
―成長に向けたサポートについても教えてください。
H.T.私はいい意味でほったらかしですが(笑)、それは15年の社会人経験を経ての中途採用だからでしょうね。この中ではS.V.さんがいちばんの若手ですが、どうでしょうか。
S.V.とても手厚くサポートされていると思います。昨年、初めてテーマリーダーとして会議での発表に取り組んだのですが、どこから何に手をつければよいかもわからなかったんです。その時に親身になって相談に乗ってくれたのがマネージャーでした。発表の準備も手伝ってもらえましたし、考えや視点に不足があれば、しっかり指摘を受けることもできました。
H.I.個人的には部署異動がけっこう多い会社かなと思うのですが、そのあたりはどう捉えていますか?
S.V.本人の希望なのであれば成長にとってはプラスではないでしょうか。私の知り合いに、希望して研究所を飛び出し、事業部へ異動してマーケティングに携わっている人がいます。いずれは再び研究所に戻り、経験を活かして付加価値の高い仕事につなげるプランのようですね。
H.I.ひとつの部門の中で学べることには限界がありますし、社内転職のように異動を通じて経験の幅を広げたり、新しい視点を得たりするのは成長につながりますよね。資生堂では「留学」という言い方をしていますけど。
S.V.そうなんです。いまは仕事に打ち込んでいても、いつかは他の事業が気になってくる可能性もありますし(笑)。H.I.さんがおっしゃったように、資生堂の中で転職するようなイメージで知見を深めたり、さまざまな部署とのコネクションを強めていける可能性があるのは嬉しいですね。新卒か中途かを問わず、成長のためのいい環境が用意されていると思います。
※所属部署は取材当時のものです