他社を知っているからこそ語れる、資生堂のリアルな強みとは?
中途入社の3名に語っていただきました。
社会に出る前のあなたにこそ、きっと役立つ座談会です。
Member
Profile
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Profile 01
Y.C.
資生堂インタラクティブビューティー DX本部 メディア戦略部 IMCグループ
2015年中途年入社
理工学研究科 開放環境科学- 前職
- 総合広告代理店系列 デジタル広告代理店/プランナー
- 総合広告代理店系列 デジタルエージェンシー/プランナー
- 総合広告代理店/営業
- 現在の仕事
- 全社的なマーケティングのDX実現に向け、関連部署をリード
- 入社後の経歴
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- 2015
- コミュニケーション統括部 メディアバイインググループ
- 2018
- IMCグループを兼務
- 2019
- IMCグループ
- 2021.7
- 現職
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Profile 02
K.H.
プレステージブランドマーケティング本部 リージョナルブランドマーケティング部 ベネフィーク戦略グループ
2017年中途入社
商学研究科 ビジネス(MBA)- 前職
- 化粧品・サプリメントメーカー/通信販売の企画立案、海外での化粧品ブランド刷新、新規事業・サービス立ち上げ
- 現在の仕事
- 化粧品専門店ブランド「ベネフィーク」ブランドマネージャー
- 入社後の経歴
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- 2017
- コスメティクスブランド マーケティング部 デジタルフューチャーグループ
※IoTを活用した新サービスブランドのインキュベーションを担当し、マーケティングから事業戦略関連領域で社内5部門を遍歴 - 2020
- 現職
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Profile 03
S.T.
プレミアムブランド事業本部 第2事業部 アカウント第1営業統括部
2019年中途入社
農学部 食料環境政策学科- 前職
- 化粧品メーカー/営業
- 国際物流/輸出入
- 現在の仕事
- 関東エリアで展開するドラッグストアの本部担当業務
- 入社後の経歴
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- 2019
- 現職
Chapter 01
資生堂に感じた本気。
―転職の動機を教えてください。
K.H.前職では、ヘルスケア領域における新規事業に取り組んでいました。企業の健康経営と健康寿命延伸ニーズにいち早く着目。サプリメントとデバイスを組み合わせ、健康・行動データに基づく健康増進サービスを提供するというものです。導入後の評判は良く、手応えも感じていましたが、その後が停滞していました。IoTやAIによる最適化の時代が目前で、それまではどうにもならなかった生活者の“不”を解消する、またとない機会が訪れようとしている。それなのに、当時はさらなるチャレンジのイメージを持てず、焦りが募りました。生活者中心のイノベーションを起こし続けたいという思いから、その実現手段が転職でした。
―なぜ資生堂という環境に魅力を感じたのですか。
K.H.資生堂といえば、日本を代表するグローバルブランドです。化粧品業界を常にリードしてきたし、これからもリードしていく存在だろうと考えました。傍から見ても、研究開発に優れていること、人的リソースが充実していることは伝わってきますし、価値提供の基盤となるECプラットフォームを自社で持っているのも心強い。でも、最終的な決め手になったのは面談です。最先端技術とデジタルの力によって、ビジネスモデルさえも変えていきたい。全社を挙げてそれに取り組んでいきたい。そんな本気度がひしひしと伝わってきました。
S.T.私は資生堂が3社目です。新卒で別の化粧品メーカーに入社し、その後は国際物流会社へ。この経歴を活かして、グローバル展開している化粧品メーカーへの転職を考えました。女性だから……というわけでもありませんが、人の内面まで磨ける化粧品という商材はやっぱり魅力的です。それに、世界で勝てる国内メーカーは資生堂くらいではないかという思いもありました。
―世界で勝てそうだと思えた根拠はなんでしょうか。
S.T.海外に進出しているメーカーはほかにもありますが、中身をよく見てみると「じつはアジアにしか力を入れていない」といったことも珍しくありません。資生堂は、世界中でビジネスを展開している。しかも、競合に先駆けている。その積極的な姿勢に可能性を感じましたね。
Y.C.私はS.T.さんより転職が多くて、資生堂が4社目です。過去の3社は、広告代理店傘下のデジタル系企業か、広告代理店そのもの。デジタルを中心にキャリアを組み立てるために、デジタルだけに留まらない営業職もあえて経験しました。コミュニケーション全体を俯瞰し、デジタルの位置付けを再認識する狙いです。こうしたキャリアを武器に、今度は事業会社側でDXを牽引してみたいと考えて転職しました。会社選びで重視したのは、「自分の力で変えられる」ことです。取り組みとしてはまだまだだけど、変わろうとする意志が強い。そんな会社がよかったんです。
―資生堂からは「変わる意志」を感じたのですね。
Y.C.私が資生堂に入社したのは2015年ですが、その前年に社長の交代があり、変革へのメッセージが世の中に広がりつつありました。変革の一環として、デジタルの強化が進むのではないかという期待はありましたね。実際に資生堂がやっていたことを見ると、自社でECプラットフォームを持つという先進性の一方で、媒体への投資額はデジタルよりテレビのほうが圧倒的に多い。コミュニケーション全体で見ると、これから変えていくべき余地がたくさんあったんです。それに、広告代理店時代の経験から、コミュニケーション領域における化粧品の面白さも感じていました。
―コミュニケーション領域における「化粧品の面白さ」とは?
Y.C.たとえば化粧品と食品を比べてみると、質の高いコミュニケーションを重ねて消費者を動かすという「コミュニケーションの関与度」は化粧品のほうがかなり高い。関与度でいえばクルマも高いですが、化粧品のように頻繁に買うものではありませんよね。つまり、コミュニケーションの重要度と、計画・実行の頻度。その両方を併せ持つのが化粧品なんです。だからこそ、チャレンジの機会も多いのではないかと。
Chapter 02
想像を超える、自由とスピード。
―入社して感じた驚きはありますか?
Y.C.この3人の中では私の入社がいちばん早くて、当時の記憶もちょっと古いのですが(笑)。思っていたよりもはるかに自由度の高い環境でしたね。決められたことが上から降りてくるのではなく、担当者側からやりたいことを上げていって、それがちゃんと形になる。
S.T.営業としてもそれは感じます。私はドラッグストアの「本部」担当ですが、同じドラッグストアの「店舗」を地域ごとに受け持つ担当者も別にいます。そのエリア担当さんから上がってきたアイデアを、ちょうどいま、一緒になってお客さまに提案しているところなんです。前々職も同じ化粧品メーカーでしたが、会社が決めた施策に沿って営業が動くのが基本姿勢。資生堂にももちろん会社側の施策がありますが、プラスして個人の裁量においてもお客さまに働きかけることができる。これは大きな違いですね。
Y.C.それから、なんといってもスピード感。私が入社してからの5〜6年だけを見ても、資生堂はかなり変わったんじゃないでしょうか。グローバルでの経営方針もそうですし、ブランドの力をさらに強くするために体制が大きく動いたのもそう。デジタルへの投資額も何倍にもになっている。150年もの歴史があるのに、ここまで変わるのかと。私自身、前例に囚われないように必死ですね。仕事をしているとどうしても過去の成功体験がちらついたり、入社してから身についた「資生堂のやり方」が知らず知らず顔を出したりするのですが、そうなると必ず叱咤激励が飛んできます(笑)。
K.H.私が入社して最初に手がけた『Optune』(※)は、プロジェクト発足1年後にはベータ版をお客さまに試用いただき、さらに1年半で製品版へ広げていくという、信じられないスピード感でした。『Optune』はちょっと極端な例だとしても、現在はブランドマネージャーを務める「ベネフィーク」の動きも非常に速いですね。最初はPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としてブランドの再構築プロジェクトに加わったのですが、生活者理解の深堀り、戦略立案から価値構築までたったの3か月。さらにプロダクト開発、マーケティング戦略の立案・実行まで全体でも1年かからずにブランドを刷新しました。市場とお客さまの変化があまりにも速いので、社内外のパートナーと連携しながらいかにクイックに、柔軟にやり続けることができるかがポイントですね。※IoTスキンケアシステム。専用アプリで日々変わる肌を測定し、データ分析によって導き出された最適なケアが専用マシンから抽出される。現在はサービス終了。
Y.C.うちの部署もかなり焦っていますね(笑)。コロナ禍があり、DXによってチャンスを切り開ける可能性が非常に大きくなっている今、これまでの資生堂なら10年かけてやっていたことを2〜3年で成し遂げようという意気込みです。
K.H.資生堂だからこそ、さまざまなステークホルダーからの注目が集まるというのもありますね。期待の水準が高いゆえに、組織としても個人としてもストレッチした目標を掲げ、ほどよい緊張感を持って対応していく。その結果として、自分たちの殻を破ることができる。毎日が全力投球なのでしんどいですけど(笑)。
―「コロナ禍とDX」という文脈において、営業として取り組んでいることはありますか?
S.T.担当しているドラッグストアでは来客数が激減して、売上が直撃を受けています。一方で、お客さまを店頭に呼ぶ手段は限られていて、昔ながらの紙DMか、LINEでの一斉告知くらいしかない。その解決策として、アプリ会員になっていただくことで化粧品の切れるタイミングにクーポン配信を行い、再来店を促そうという提案をしています。これが先ほどお話しした、エリア担当さんのアイデアなんです。ほかには、Instagramの開設や運営についての知見を貸してほしいという相談もありますね。
―Instagramが開設されると、競合メーカーについての情報が発信される可能性もありますね。
S.T.それでも構いません。お得意先さまの売上が上がれば私はうれしい。もちろん、資生堂の商品が売れるのがいちばんですが(笑)。資生堂の商品がどれだけ売れていくかは、お得意先さまの売上に直結する非常に大切な要素です。ですからお得意先さまも、「何をすればもっと売れるのか」を一緒になって積極的に考えてくださいます。単なる取引先を超えて、ワンチームと呼べる関係性です。これも、資生堂だから感じられるやりがいのひとつだと思います。
Chapter 03
人と制度の両面で、受け入れる姿勢を整えた会社。
―これは新卒入社の方にも通じると思うのですが、資生堂という会社にどうやって馴染みましたか?
S.T.面接の時から感じていたのは、資生堂の人は初対面でも距離を意識させないこと。人間的にも、とても柔らかいタイプが多いんです。ですから、馴染むのに苦労はしませんでしたね。
K.H.人がいいですよね。仕事で関わる人たちとのコミュニケーションは本当にやりやすい。そういう人がなぜか集まっているのかもしれないし(笑)、風土のせいかもしれません。ローテーションを通じて人を育てていく風土があるから、組織として柔軟性を持ち合わせているのかなと思います。それに、研修などのバックアップが充実しているおかげでローテーションを壁と感じることもない。人と組織の両面から、受け入れる姿勢をつくっている会社ですね。
Y.C.私は資生堂に知り合いが1人もいない状態で入ったので、どうなるかなと思っていたんです。けれど、そんなことがすぐに気にならなくなるくらいに雰囲気がフラット。中途入社も新卒入社も、差がわからない(笑)。
S.T.中途入社だと、どうしても即戦力として認められたくて気負ってしまうのですが、失敗しても普通に励ましてもらえるので肩の力が抜けました。上司はもちろん、後輩までフォローしてくれます。それでいいのか、という話ですけど(笑)。ただ励ますだけではなく、解決策についての示唆までもらえるのが嬉しいですね。それに、お得意先さまから資生堂への愛が強いなと感じます。愛されている会社で働けるのは、思えばすごくありがたいことですよね。
K.H.美を提供する会社なので、お客さまと資生堂の間はもちろん、私たち社員が資生堂への誇りや帰属意識を強くするのも、根っこにあるはプロダクトなのかなと思います。まずはプロダクトをしっかり知ることが馴染んでいくコツではないでしょうか。私は担当ブランドの新商品やサービスを、誰よりも早く使い始めて毎日続けて使用して触います。
Y.C.私も資生堂のものを使っていますね。ドラッグストアに買い物に行って、資生堂製品が見つからなかったらもう一軒回ってみる、ということもときどきあります(笑)。もうひとつ思うのは、資生堂はインナーマーケティングに非常に力を入れている会社だということ。目標共有やディスカッションの場も豊富だし、社員が会社に触れる時間を、できるだけいい時間にしようという姿勢が感じられます。それだけ、人材の重要性を理解している会社なんだと思いますね。
※所属部署は取材当時のものです